第3章 山茶花と露天風呂
部屋に戻って ひと段落つくと、才蔵さんが言った。
「お前さん、先に温泉行きな。俺は、少し酔いを醒まして行くから」
わたしは、酔い潰れて寝てしまった幸村様や、佐助くんに悪いなぁと思いながらも、素直に温泉に先に行かせて貰う事にした。
「じゃあ、才蔵さん お先に」
わたしは、才蔵さんが、軽くうなずいて、褥に横たわったのを見て、部屋を出た。
宿の女中さんに、聞いた通りに廊下を歩いて行くと、
女湯と男湯の暖簾が見えて来る。
女湯の暖簾を潜って、中を覗くと、どうやら、先客もいないようだ。
(貸し切りみたいで、嬉しいな)
わたしは、いそいそと着物を脱いで温泉に入る準備を整えるのだった。