第10章 心配
「何深刻そうな顔してるんですか。
勝ちますよ、俺達は。
ちゃんと信じててください」
くしゃりと優しく撫でられた頭。
真剣な目と、欲しかった言葉。
あぁ、どうしよう。
「……うん。
ま、まぁ練習試合だけどね!」
誤魔化してないと、今すぐ泣いてしまいそう。
これが最後の夏合宿。
毎年の恒例行事が1つ、1つと終えていく。
寂しい。
もっと、もっともっとこの皆で一緒に過ごしたい。
「練習試合も勝って、インハイも勝ちます。
もちろん春高も。
俺もまだこのチームでバレーがしたいですから。
だから、夏美さんには笑っていて欲しいんです。
あなたの笑顔を見ると、自信が沸いて来る」
「……うん、ごめん、しんみりして。
ありがと!勝って来い!赤葦!」
「はい」
「なー、夏美ー、俺にはー?ねーの?」
「え?あ、頑張れ!」
「光太郎センパイ……わたしの応援よりセンパイの応援の方が良いんですか?」
「チガウ!ナナの応援が1番!」
プクリと頬を膨らませたナナちゃんが尋ねる。
その目は少し涙目だ。
可愛い。
うん、今日のチームも平和だ。
頑張ろう。