第9章 きす。
「夏美ー、今日どこでヤんの?」
「はい!?」
夕食を食べ終え、部屋に戻る廊下。
堂々と私に尋ねる光太郎。
「しませんよ、何考えてるんですか」
「えー、シねぇの!?」
「木兎さん達も他校の迷惑になるようなことしないでくださいね?」
赤葦が耳打ちする。
あれ、なんでもう2人がシてるって分かるんだろう。
光太郎が言った?それとも何か察した?
どっちも有り得そう。
「……ガンバル」
「言いましたね、頑張ってくださいよ」
「うー、赤葦ぃ!」
「もう諦めるんですか?
頑張るって言ったの今ですよ?」
「諦めねぇ!
でも目の前にご馳走があったら食うだろ!男なら!」
「待て、ですよ。木兎さん」
「ぐぬぅ……あ!そうだ!
なぁ、合宿終わったら海行かね?」
「海ですか?」
「そーそ、海!
Wデートっつーやつ?」
「まぁ、俺は良いですけど」
「夏美は?」
「え?うーん……ナナちゃんが行くなら行く」
「おし!じゃあ行こうな!」
ワシャワシャと髪を撫でられる。
「そこは俺が行くなら、じゃないんですね。
別に良いですけど」
赤葦が低く漏らす。
「だって、赤葦に水着見せるとか、恥ずかしい」
「もう見たことありますし、普段もっと恥ずかしいところまで見てるでしょう?」
その言葉に、ボボボと顔が赤く染まる。