第3章 カワイイ後輩、憎い後輩
「つーか夏美、動きヘン!
どーしたー?」
光太郎が思いきり抱き着く。
皆の前で、勢い良く。
「いたっ、ちょっと光太郎!」
腰が痛いんだってば、と小声で囁く。
その声が聞こえたのか、ニヤリと笑う光太郎の顔。
その顔、なぜか嫌な予感がする。
「あー、そっか。
夏美久々っつってたもんな!
ヤり過ぎて腰いてーなら早く言えよ、なんとかすっから!」
大きな声で告げられた、内容。
「ばかッ!」
信じらんない。
皆が居る前で躊躇いなく言っちゃうなんて!
気まずくなったらどうしてくれるのよ!?
光太郎のバカ!
「おーい、怒った?」
「当たり前でしょ!?
皆が居る前で言わなくても良いじゃない!
てか言っちゃダメ!」
詰め寄り、声を張り上げる。
皆が居るのを完全に忘れて。
「えー、良いじゃん。俺ら付き合ってんだし」
頬に触れた唇。
その後の体育館は気まずかった。
光太郎の爆弾発言のお陰で、色々大変だった。
3年生達は顔を赤くして目を合わせてくれないし、話しかけてもぎこちないし、ナナちゃんも顔を赤くさせて反応すらしてくれないし。
唯一赤葦だけが、いつもと変わらない態度で接してくれたけど。
気まずくて、居た堪れない状況だった。