第1章 カワイイ彼女
「多分夏美が選んだのは2だろ?
でも俺はそれで良い。
寂しさは俺が埋めてやるから、遠慮せず赤葦のことを落とせ。
あ、でもその過程で俺のことを好きになっちゃってもオッケー。
むしろそっちの方がラッキー!」
「木兎らしい……ありがとう。
木兎も私に遠慮せず好きな人作って良いからね」
「あ、そーゆーこと言っちゃう!?
なぁ、こっち来いよ」
木兎がベッドの上を叩く。
「でも時間……」
「いーから、ちょっとだけ!」
腕を引かれた拍子にバランスを崩し、気づいたら木兎の腕の中。
「良い匂いする.……」
首筋に顔を埋め、スンと鼻を鳴らす。
「やだ、部活後だから!汗気になる!」
「俺は別に気になんねー」
一応部活終わったあとに汗ふきシート使ってるけど、それでも気になるものは気になる。
「やだ、そんなに嗅がないで……!」
「えー」
スンスンと匂いを嗅ぐのを辞めない。
「やだぁ……」
恥ずかしさに涙が出て来る。
「泣くなって!もうしねーから!
でも泣き顔唆る……」
なんか不穏な言葉が聞こえた気がする。
「夏美」
「んっ……」
顎を固定され、唇同士が重なった。
1度重なった唇はゆっくりと離れ、目を見つめ合うと再び降りて来た。
「っ、ん……」
何度も何度も角度を変えて降り注ぐキスの雨。
唇を舐められ、びっくりして少し空いた隙間から舌が入り込む。
「ンン……!」
舌が交わり、歯列や上顎、舌の裏を擦られる度に身体が跳ねる。
「は、あ……」
長い長いキスから解放される頃には、視界がぼんやりしていた。