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才蔵さんと朝顔 【天下統一恋の乱】

第1章 買い出し


わたしは 夏の強い日差しの中を
城下の市へ向かって歩いていた。

「毎日暑いな。こう暑いとお城のみんなも夏負け(夏バテ)しない様な料理を考えないといけないな。」

わたしが、ぶつぶつ言いながら、下を向いて歩いて居ると、ふっと誰かに顔を覗き込まれる。



「お前さん、いつも、そんな難しい顔して下向いて買い出し行ってる訳?」



からかうような口調に、ぱっと顔を上げると才蔵さんの切れ長の涼しげな目と目が合った。



才蔵さんとは 最近、良くわたしの買い出し中に出くわす事があったけども
お団子を買いに来てたと何時も言うので、さして考えもせず


「また、お団子ですか?言ってくだされば、いつだってお団子くらい作って差し上げるのに。」


「お前さんも、色々と忙しいでしょ?」


そう言うと才蔵さんは、手に持ったお団子を一つ口にほうばった。


気を使ってくれてたんだって思うと、才蔵さんの優しさが嬉しくなり、自然と頬が緩む。


「単純。」


「え?それ、わたしの事ですよね?」



わたしの問いかけには、答えず、才蔵さんはお団子をもぐもぐ食べながら、わたしの横を歩く。
才蔵さんとの市での買い出しに、浮き浮きとし、自然と足取りも軽くなるのだった。


才蔵さんに 付き合って貰って無事に
買い出しを終えたわたし達は、
ゆっくりとお城に向かって市の中を
歩いて行った。


「あ!才蔵さん朝顔」


「お姉ちゃん、この朝顔は綺麗だろ?青いのなんか見てると夏の暑さも吹っ飛ぶよ。」


「じゃあ、青いのと白いの」


っと言って才蔵さんは青い朝顔と白い朝顔を買うと、わたしの買い出しの荷物と鉢植えの二つの朝顔を持って わたしの前を歩いて行く。


「才蔵さん!」


「欲しかったんでしょ?」


それだけ言ってわたしの前を才蔵さんは、スタスタ歩いて行く。

わたしは、青い朝顔だけで良かったけれども
才蔵さんが買ってくれたのだから、青いのも白いのも、嬉しくって

前を歩いている才蔵さん背を追って歩くのだった。


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