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第6章 1.05 対面
グルッペンはシャオロン、コネシマからの通信を切るとロボロへと通信を繋げた。
「ロボロ。これからコネシマ達が帰ってくる。協力者という人物も連れて来るらしいから、頼むぞ。」
それにロボロは“はいはーい”と答えた。
グルッペンはそれに頷いて通信を切ると、今度は別の人物へと通信を繋げる。
「ペ神、聞こえるか?」
グルッペンの問いかけに暫くすると反応があった。
«ーーごめんごめん。薬類の在庫チェックしてた。どした?グルッペン。»
ペ神と呼ばた男は、ガサガサという音をさせながら要件を聞く。
「今、市街へ調査に行っていたエーミールが脚を負傷した。応急処置は済んでいるらしいが、傷が深いらしい。今こっちに向かっているから受け入れの体制を整えといてくれ。」
グルッペンの言葉に、総統室に居たトントン、オスマン、ゾムは険しい表情でグルッペンを見る。
«…了解。準備しとく。»
しんぺい神がそう言うと通信を切る。
それを見届けて、ゾムはフードを深く被り口角を上げた。
「グルッペン。エミさんやった奴、殺してええ?」
ゾムの急に変わった雰囲気に、その場にいた杏はビクリとした。
先程ナイフを振った時とは明らかに違う、完全なる、殺気。
しかし、グルッペンはゾムの殺気にも飄々として答える。
「襲ってきたのはポートマフィアだ。限られた情報の中でお前一人では無理だ。」
グルッペンの言葉にゾムは“ちぇ”と言うと殺気を抑えた。
「ところで、杏の異能力発動したん?…特に変化無いんやけど。」
オスマンは紅茶に口を付けながら、視線だけを杏に向けた。
「異能力は発動しました。ですが、異能が手に入るかどうかは分かりません。皆さんをこの世界に適応させた状態で、私の異能力からは範囲を外して居ますので、後は皆さん次第かと…。」
そう言うと、杏は視線を下に落とした。
オスマンは尚も疑惑の視線を送っている。
その様子をグルッペンはニヤニヤと見ていた。
「オスマン。彼女は嘘は吐いてないゾ。」
グルッペンの言葉にオスマンはじとー、とグルッペンを見た。
「なんでそんな事言えるん。」
オスマンがぶすーっと膨れて言うと、グルッペンはそれは嬉しそうな顔をした。
「何故なら、もう私の異能力が発動しているからな!!」
その言葉に全員が“え”と言った。