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第4章 1.03 異能力
「え、えと…。私も異能力…あるので、少しだけなら、手合わせしますか…?」
私がそう言うと、ゾムさんはぐっと近づいてきた。
「え!!!?そうなん!!?ほなやろうや!!!今すぐ!!!!」
そう言うと、ゾムさんは何処からかサバイバルナイフを取り出し、スっと横に引いた。
それに私は咄嗟に反応して避ける。
(…思ったより動ける、この人…。)
そのままバランスを取り直すと同時に私はフードを後ろへと捲った。そして髪の毛をまとめてあるリボンに手を添えて異能力を使った。
「異能力“水面月”」
すると、リボンがすっと大きくなりゾムさんの方へと伸びる。
咄嗟にゾムさんは避けようとするけど…。
「チェックメイト、です。」
リボンは不規則に動き、ゾムさんの体を捕えた。
「な、なんやこれ!!ビクともせえへん!!」
ゾムさんがジタバタ動くので異能力を解除する。
ゾムさんは上手く地面に着地すると、とてつもなく悔しそうにしていた。
「こ、これが異能力…。こんな物が他にもあるのか?」
グルッペンさんやトントンさん、オスマンさんもとても驚いている。
「私の異能力は“水面月”って言って、物質を状況に適応させるんです。それによって私の思うように動かせる能力で。…人によって能力は異なります。」
その中で私はあることに気づいた。
「…あれ、適応させる…なら…この人達をこの世界に適応させれば…若しかすると…。」
私がぶつくさ言っていると不可解そうな顔をされる。
理論的には不可能ではない。
見た感じここの人達は個性が特に強い。という事は、この世界に適応させれば若しかするとその個性が異能力として発揮されるのではないか…。
「あ、あの!私の異能力を使ったら、若しかすると皆さんも異能力者になれるかも…です…。」
私のこの一言にグルッペンさんとゾムさんが嬉々とした目を向ける。
「それなら是非お願いしたいゾ!ここにいる以外にも外に行っている奴らもいるが、可能か!!?」
グルッペンさんはそれはそれは興味津々である。
「グ、グルッペンさんを媒介にすれば、できますよ…。ただ、若しかすると異能力が身につかない人もいるかも…ですが…。」
「構わん!是非頼む!!!!」
そう云われ私は、グルッペンさんを媒介として異能力を発動した。