第2章 働かざるもの食うべからず
「さて、俺もそろそろ部屋に戻るよ」
最後まで残っていたイライさんがベットから立ち上がろうとしていて少し寂しくなって
イライさんの服をつかんでしまった。
「名前?」
不思議そうにこちらを見るイライさんに
なにも言えなくて俯いてしまった。
寂しくて掴んじゃいましたなんて言えないし
どう返事をしようかと思っていると
イライさんがふっと笑い
「わかった、名前が寂しくないようにここにいるよ」
といい再びベットに腰かけた。
イライさんがいてくれることに安心感を覚えつつも申し訳なさを感じて
「すみません、あの私」
「仕方ないさ、突然わけのわからないまま連れてこられたんだ
家族が寂しくなったりしないわけがないだろう
君は何も悪くない、誰も君を此処から追い出そうなんてしないさ、だから安心して大丈夫だよ」
すっと肩の力が抜けて
目頭が熱くなった
泣きたくないのに涙がこぼれ出そうになって
袖で拭おうとしたらイライさんにそっと腕を握られてそのまま抱き寄せられた。
「名前は強い子だね
でもここには俺しかいない
大丈夫、こうやっていれば泣いてるのもみえないから」
せき止めていたものがなくなって私は大泣きをしてしまった
イライさんは服が濡れてしまうのにそのままぎゅっと抱きしめて大丈夫と囁きながら頭を撫でてくれた。
「わたし、こんなきゅうに決められてわけわかんなくて」
「うんうん、そうだね」
「でもみなさんしんせつで」
「そうだね」
「でもおとうさんやおかあさんにもあいたくて」
「親のようには出来ないけど俺たちが名前が少しでも寂しくないように傍にいるよ」
「いらいざん・・いらいさっん
わだじは!ここに・・・此処にいていいんでしょうか・・?」
「勿論、いつかその日がくるまで少なくとも俺だけは君のそばにいるよ」
その言葉に声を上げて泣いて
私はそのままイライさんにしがみついて眠ってしまった。