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夢の続き【アイナナ】

第3章 四葉環夢(クラスメイト)


私は一度家に帰って、お母さんが呆れるほど、クローゼットのお洋服を取っ替え引っ替え着替え、一張羅のワンピースを選んだ。それから待ち合わせ場所に行く。待ってる間、そわそわして落ち着かない。

「夢っちー」
振り向くと、私服姿の四葉くんがいた。
Tシャツにデニム。シンプルだけど、かっこいい。
「あれ、なんか私服、雰囲気違うじゃん。」
「う、うん、どうかな」
「いいじゃん?かわいい」にかっと笑う。
(…か、かわいい!?かわいいって言った?四葉環!)

人混みの中、会場へと向かう。
リーチの差か、四葉くんは歩くのが速くて、追いかけるのがやっと。ドンと人にぶつかってしまう。
「ん?夢っち、危なっかし、ほら!」
そういって、大きな手を私の目の前に、差し出す。
「え…?」
「はぐれそうだから、手ぇかして」
そういって私の手を繋いだ。
(よ、四葉環とお手手つないじゃったよーー!?)

会場についてからは、関係者通路で中に入る。
そっか、関係者はこういう風に会場にくるんだな、と感心しつつ、もう人混みは過ぎたのに、繋がれたままの手が気になって、やっぱりときめいてしかたがない。
(こんなのドキドキしない方がおかしいでしょ…!)

気がつくと、もう楽屋の前で、四葉くんがノックして入る。
「わ、私ここで待ってるよ…緊張して無理」
あわてて四葉くんにそう言った。
「なんで、大丈夫だって、こいよ、ほら」
繋いだままの手をぐっと引っ張って、楽屋の中に一緒に入る。

「モモりん、ユキりん、観にきたよー」
「おー環ーっ、来てくれて、ありがとう…ってっ!」
「「環の彼女?」」
「…へ?」
皆の視線が、繋がれた手に集中する。
あわてて、手を振りほどき、
「ち、ちげーしっっ、ただのクラスメイト!」
ほんとの事だけど、勢いよく振りほどかれた手が、少し寂しかった。

「あ、夢っちってうクラスメイトなんだけど、二人のファンなんだって、ほらっ」
肘で小突かれて、ごそごそとカバンから色紙とペンを出して、サインをお願いする
「うん、いいよー」「そうね」

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