第9章 11月 波乱の学園祭
「リボンがあらへん!!」
「俺の靴知らへん?」
「ちょお、誰かこっち手伝って!!」
文化祭1日目、朝から準備にてんてこ舞いだ。昨日チェックは済ませたがメニューの下準備やいざ着替えるとまた違う問題が起こったりする。
「あと10分で開始やぞ。」
「俺、着替えてくるわ。小村もはよ着替えな。」
「おん。これ作ったら着替えるわ。」
料理をするのはウチと小石川くんだけなので下準備もほぼ二人で回している。
「真希ちゃん、おそうなってすまんかった。着替えてきいや。」
着替えから戻ってきた小石川くんと交代で着替えに行った。
「ただいまより、第48回四天宝寺文化祭1日目を開催致します。」
校内放送で開催の放送が流れ、1日目が始まった。
「いらっしゃいませ。テニス部女装喫茶へようこそ。」
最初は嫌がっていたがやってみると意外とみんなノリノリだ。
「次のお客様中へどうぞ。」
廊下には開始から長い行列ができている。女の子ばかりで男の子はほとんどいない。女の子たちは誰が一番可愛いだとか、似合っているとかを話し合っているようだ。
注文が絶えないなか、厨房は2人で回すには一杯になってきた。
「凄い人気やね・・・。」
「ホンマやね。」
厨房からホールを見るとあちこちで部員が女の子に話しかけられていて、携帯カメラのシャッター音が絶えない。
「紅茶セット2つ、ってどないしたんすか?」
「あ、財前くんホール凄いな。紅茶2な。」
「あ~ホンマウザイっすわ。あと写真とかやめて欲しいですわ。」
「写真ダメなん!?後で撮ろ思っとったのに。」
思わず口から出た心の声にハッと口を塞ぐが遅かったようだ。財前くんがウチをジッと見ている。
「・・・後でっちゅーことは、まだ撮ってないんすね。それならいいですわ。」
そのままジトッと目線を残してホールに帰っていった。
「真希ちゃん・・写真撮ろと思っとったんか。」
「やって、財前くんかわええやん。一緒に写真撮りたかってん。」