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【テニプリ】君の未来【中編】

第9章 11月 波乱の学園祭




教室に戻るとみんな先に帰ったようで財前くんだけが残っていた。


「先輩、ファミレス。」
「せやね、行こか。」



帰り道の途中でファミレスに入った。家に帰ってから晩御飯があるのでそれぞれ軽いものを食べることにした。

「おまたせしました。ぜんざいになります。」

店員がぜんざいを持ってきて財前くんの前に置いた。さっそくスプーンですくって食べている。

「財前くん、ホンマにぜんざい好きやね。」

「おん、先輩はなに頼んだんすか?」

「ウチは、飲み物だけにしといた。晩御飯が入らんくなりそうやし。」

「一口いります?」

「おん。」

財前くんからスプーンを受け取ろうとしたら手を引っ込められた。そしてウチを見てニヤリと笑った。

「真希先輩、アーンしたりますわ。」

アーンと口に出しながら、ぜんざいを目の前に持ってくる。
誰も見ていないのだが視線を感じるような気がして恥ずかしい。
おずおずと口を開けると、スプーンが口に入ってきた。

「ウマイっすか?」
「おん・・。」

実際、恥ずかしさが勝って味なんか分からなかった。

財前くんは相変わらず黙々とぜんざいを食べ続ける。
ウチも残っている飲み物をすすった。


「先輩、明後日暇ですか。」
「唐突やな・・・。時間あるんちゃうかな?」

「ほんなら、文化祭廻りませんか?」
「ええよ、最初からそのつもりやったけど。」



「ホンマっすか・・・。」

ファミレスを出て、家に向かって歩き出した。11月の夕方の気温は中間服には堪えた。

「寒っ。」
「先輩、手ぇ貸して。」

言われたとおりに手を出すとギュッと握られた。
「これやったらさむないでしょ?」

財前くんの手から暖かさが伝わってきて心まで温かくなった気がした。


(明日もがんばろう!!)

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