第1章 契約成立!?
頭痛い。
ってか、目眩してきた。
女の子共有したいけど、問題はおこしたくない、と。
なんなの、それ。
バカにしてる。
全世界の女の敵だ、こいつら。
「あたし、そーゆーいかがわしいのは興味ないんで…」
「月100万やるよ」
「………は?」
出ていってもらおうと、そそくさと玄関の鍵をあけようと、すれば。
かぶさるようにふたりの低い声が降ってきた。
「弟くんたちの生活は保障するよ。お母さんの入院費用も立て替えてあげる」
「…………」
動きが、止まる。
何を、言ってるの。
お母さんの入院、も。
なんで知ってるの、この人たち。
あたしなんにも話してない。
話してない、のに。
どくん。
どくん。
うるさい。
心臓、うるさい。
「それにさ、キミに拒否権なんて、あったっけ?」
「………っ」
「俺たちと来るなら、不自由はさせない。好きなものも好きなだけ買えばいい。もう金なんて稼ぐ必要もない。学校にも行かせてやるよ」
「………嫌だ、っていったら?」
「可哀想に、キミの大事な兄妹たちは施設おくりだね」
「………っ」
「そんな悪い話かなぁ?」
「拒否る要素なんか1ミリだってねぇと思うんだけど」
月100万。
生活の、保障。
お母さんの、入院費。
「…………なんで?」
「ん?」
「なんであたし?」
「キミが気に入ったから、ね?斗真」
「ああ」
「……………それ、だけ?」
それだけで?
「他に理由なんてある?」
「…………」
昨日、みたいなことをしてればいい。
それだけ。
それだけで。
「ライちゃん、もう一回言うね。俺たちに飼われてみる気、ない?」
「……………」
「沈黙は肯定って取っていんだよな」
「契約成立、だね」
「だな」
「…………」
選択肢なんてない。
この生活を守るため。
これ以外、方法がないから。
だから。
自分自身に都合良く言い訳を、して。
あたしは。
全ての現実を放り投げたのかも、しれない。