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愛玩彼女

第13章 アイスキャンディ


「………よしっ」


鏡の前で気合い1発。
一晩寝れば全然具合良くなる自分にちょっとだけ尊敬しちゃう。
そもそも熱がある自覚すら、なかったけど。



「來、起きた?」
「………」


一応さ、ノックするくらいのデリカシーって、必要だと思うんだよね。
絶対。
着替え中とかだったらどーすんだろう。


「……んだよ」
「別に」
「は?」


多分きっと、この人にはそーゆーの、通用しない。
言うだけ無駄な気がする。


「來」

「なに……」


ため息ひとつ、横を通りすぎれば。
左腕は簡単に、彼の左手に捕まった。
ついでに。
唇までも。


「!?」


ちょっと待って。
何?
何なの、これ。


「んーっ、んんぅっ」


離れようと暴れる程にさらに深く舌は絡まり、さらにはいつの間にか後ろには壁。
両手で耳の後ろから包み込むように手を回されれば。
簡単に向こうの優位となるわけだ。




「……っぷは」



やっと唇が離されたと思えば。
こっちは肩呼吸で苦しさ全開なのに、なんで斗真はなんもなかったように涼しい顔してんの?
この差、何?


「熱、下がったみたいだし良かったな」
「はぁ?」
「勘違いさせてわりぃけど、ただの検温、な。朝から盛んなよガキ」

「はぁぁぁ??」


思い切り睨みあげるあたしを涼しい顔でぽんぽん、て頭を撫でた後、バカみたいな俺様はドアの向こうに消えてった。


「何なの、あれっ」


検温はね、今の時代体温計ってものが存在すんのよっ
バカとーま!!



ガン!!

ドアを蹴りあげた瞬間、右足に走った激しい痛みでしばらく動けなかったことは絶対、内緒なんだから。




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