第12章 『すき』『きらい』
何。
あれ。
あたし、おかしいのかな。
やっぱり透の言ってること、理解出来ない。
「なんでそれが、チャンスなの?」
「ん?」
「來?」
「ここから出ることは、あたしにとって地獄だよ」
ふたりのそばにいられないなら。
ふたりに、嫌われちゃったら。
あたしにはそれはもう、生きてる意味なんてないよ。
ふたりがあたしを好きでいてくれて、こんなに嬉しいのに。
こんなに。
幸せなのに。
なんで逃げるなんて選択肢が存在するの?
「はは……っ」
渇いた、笑い声が吐息と一緒にもれたのは。
透だったか斗真だったか、よくわかんない。
「ねぇそれってさ」
「愛の告白にしか聞こえないんだけど」
「え、えぇ?」
嘘。
告白、って。
『すきです』的なくだりのやつじゃなくて?
「頭悪すぎお前」
「だ、だってほんとよく、わかんなくて」
「大丈夫」
「わからせてやるよ」
「………っ」
「お前が選んだんだ。ちゃんと責任、持てよ」
「んっ、……あっ、ッッ」
唇、首筋、胸元。
そして爪先、足、ふくらはぎ、太もも。
上から、下から。
啄むような口付けは、さっきから繰り返し繰り返しなされるだけだ。
身体中、彼らの舌が這ってないところなんてたぶんもうない。
「ほら、足閉じんなって」
「だ、って……っ、ひぁ……っ」
「こっちも、邪魔だよ?気持ち良くしてあげられないから」
「やめ……っ、やんっ」
蕾と、胸の果実。
同時に口の中へと含まれて転がされれば。
それは強い刺激となって遅いかかってくる。
「ィ……っ、ぁああッッ」
仰け反るあたしの体を支えるように透の掌が両肘をきつく掴んで離さない。
おかげで、跳ねるように弓なりにしなる体。
「ほら、もう一回」
「も、むり…っ、!!、や、ああっ」