第11章 番外編『仲良し』
シャツの締め付けから解放されて飛び出した胸に(飛び出すほどなんてないけど)、そのまま顔を近付け口の中へとその先端を吸い込む斗真に。
「や、だ……っ、斗真っ」
自由な両手で思い切り斗真を顔ごと押しやれば。
「邪魔、透ちゃんと押さえとけよ」
「子供じゃないんだからさすがに無理でしょ、俺も触りたいし」
「ふたりとも、ほんと今日もぉ無理…っ」
さっき散々ふたりに愛されたんだ。
そりゃもう、意識もぶっ飛ぶくらい濃厚に、濃蜜に。
「なんだ、誘ってんじゃなかったのかよ」
「はぁ?なわけないでしょっ!!」
「えぇ?なんだ、てっきり続きしたいのかと思ったー」
「透!!わかってんなら手離してよ!」
軽く笑いながらも、後ろから伸びる透の掌は斗真が舐める胸とは反対の胸へと沈んでいく。
「ライちゃんから離れたくないって」
「とーる!」
両手でふたりを押し戻しながら足をバタバタとバタつかせれば。
「邪魔」
一言そう、顔を上げたかと思えばその視線はあたしを通り越していて。
「透」
「えぇ?………あ、いーのあった。これ斗真の?駄目にしてい?」
「勝手にすれば」
「りょー、かいっ」
「?」
後ろを振り向こうとした途端に覆われた視界。
「は?」
いきなりの暗闇に、頭が一瞬パニックだ。
「透?何……っ」
「んー、ライちゃん暴れすぎ」
ついで感じたのは、後ろへと回された両手に圧迫感。
紐、じゃない。
もっと太くて長いやつ。
ふわふわしてて、……タオル?
「ほら、これで暴れられないでしょ」
「さすが」
「……じゃないよっ、取ってこれっ」
「視界奪われっと、感覚敏感になるらしーぜ?」
「ぇ」
「試してみる?」
暗闇の中、聞こえるのは同じ声。
どっちがどっちか、まるでわかんない。
「どっちの手か、当てられたらライちゃんの勝ちね」
「ぇ」
「負けたら罰ゲーム」
「はぁ?」
「いいじゃん、それ」
「待って、あたしオッケーしてない!」
「拒否権ないでしょ、その格好で?」
「………っ」
「ゲーム、スタート」