第8章 『お仕置き』
「えぇ?なんで?斗真ばっかズルくない?」
「こいつ、追い詰めらんねーと言わねーもん」
「ああ、うん、それならたぶん斗真より得意だよ、俺」
「……」
「ね?だからライちゃん、今度やってね?あれ」
「…………いただきます」
ガシャン、て。
味噌汁のお椀を力強くカウンターへと置けば。
その際手の甲にかかった熱い味噌汁は、この際なかったフリ、して。
笑顔でふたりへと、向き直る。
「「………いただきます」」
始めから。
無駄口叩いてないでそうしてればいいのよ。
こんな、太陽サンサン清々しい朝に話す内容にしては、いささか疑問、感じないわけ?
ふぅー、と。
短くため息をつきながら、飲み物をコップへと、注げば。
「!!」
「………っ!!」
ガタン、て音と共に口を押さえる、俺様な双子たち。
ついでに同じタイミングで飲み物へと手を伸ばし、やっぱり同じタイミングでそれを口の中へと流し込めば。
これまた同じタイミングで、それを口から吐き出した。
「……っ、お前、何入れたっ?」
「ライちゃん??」
「………」
ずずず、と知らん顔してお味噌汁を飲み干せば。
疑問符を浮かべながらも味噌汁を口にいれては、また吐き出す。
妖しいと思うなら飲まなきゃいいのよ。
確かIQ、高かったはずよね?
たかだか一介の大学生のくせに、薬なんて作れちゃうくらいには。
「來っ」
知らんぷりして、自分の分の朝食を平らげて、それをそのままキッチンへ。
「……ライちゃん?」
「『お仕置き』」
「は?」
「ふたりとも『お仕置き』です。少し反省すること、覚えなさい」
「はぁ?」