第8章 『お仕置き』
回らない頭を回転させて、遠い記憶を呼び覚ますこと、たぶん数分。
うつらうつらしそうな意識を呼び戻したのは、そんな斗真の声だった。
「ぇ」
何…。
くぷ、って。
しとどに濡れたその場所は、何の抵抗もなく斗真の指先を簡単に呑み込んでいく。
「ん……っ」
一気に入ってきた2本の指先は、中で生き物のようにバラバラの動きを繰り返し。
どこか、一点で急に動きを止めたんだ。
「あ……っ!?」
途端。
「や……!?何……っ、ひ、んぁぁっ」
止めたはずの指先が急速に内壁を擦りあげた瞬間に。
ぞくぞくと込み上げる、何か。
「や、やだ、斗真……っ、それ、やぁっ」
「ライちゃん、逃げちゃ駄目だよ」
「や……っ、ぃああっ、透っ、やだ、離してっ」
無意識に引いてしまう腰を、上から透が両肩を押して邪魔をする。
手も足も動きを封じられた今、上から体重をかけられればそのまま体は力のままに沈んでいく。
つまり。
ダイレクトに、斗真の指を感じてしまうのだ。
「ひぁっ、あぁぁんッッ」
首を左右へと振り、必死で抵抗を試みても。
そんなの抵抗になるどころか彼らの嗜虐心をたぶん煽るだけ。
わかってたはず、なのに。
そんな器用に頭が回転する余裕なんてなくて。
「やめ…っ、やだいやぁっ」
ただただ、与えられる快感に悶えるくらいしか出来ない。
「ひぁ……っ」
『それ』だけでも強すぎてどうにかなっちゃいそうなのに。
さらに斗真はまた、敏感になりすぎてじんじん響くその突起へと吸い付くんだ。
「い、やぁ……っ、あぁぁん、ぁッッ」
だめ。
おかしくなる。
「もう、やぁ…っ、も、イ……っ」
イく。
イっちゃう……っ
「……っ、ぇ」
真っ白に弾ける、その、直前。
中で内壁を擦りあげる指先はピタリと動きを止め。
吸い付いていたその場所から顔をあげた斗真は、手の甲で濡れた唇を拭いながら目を鋭く尖らせて、笑うのだ。
「だから、イかせねぇって。学習しねぇの?」