第7章 崩れた関係性
『俺のもんでいーじゃん、もう』
あれ、は。
どーゆー意味?
どんな、意味で?
駄目だ、駄目。
考えたって答えなんか出るわけないじゃん。
第一意味なんか、ないかもしんないし。
「……だいじょぶか?」
「へ?」
「1人百面相、楽しい?」
「あ……」
雑念がいっぱいで、ついつい顔に出てた、かも。
キッチンカウンター越しに対面したふたりの表情みれば、たぶん答えは明白だけど。
「ごめん、なんでもない」
「なら、いーけど」
「面白いね、ほんとうちの姫は」
「ひ、姫っ!?」
「いや、ただのペットだろ」
「ペットはないだろ、ライちゃんは姫だよねー」
いやぁ、どっちも嬉しくないなぁ。
差、ありすぎだし。
『ただのペットだろ』
しかも簡単に答え、出たし。
「………ねぇ、なんか焦げくさい」
「あ!!……っつ!」
しまった!!
魚っ!
グリルから慌てて魚を取り出そうと手を伸ばす、けど。
当たり前だけどグリルはめっちゃ熱くて。
反射的に伸ばした右手を引っ込めた。
「……っかお前、なんでいつも自動設定使わねんだよっ」
「ごめん……」
だってそんなの、使いなれてないし。
こっちのが合ってるんだもん。
「ごめん、朝ご飯……」
流水で火傷した指を流してくれてる斗真に首をすくめれば。
「この期に及んで朝飯かよ」
なぜかさらに怒られた。
「………ごめん、透」
「元々朝食べないし、ライちゃんの火傷のがたぶん大問題だよ」
どこに行ったかと思ってたら、そっか、薬箱取りに行ってくれたのか。
見せて、なんて。
優しく囁かれれば、勝手に集まり出す体温たち。
こんなことでいちいち反応しちゃう自分が嫌っ。