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【イケメン戦国】夢心地の宵

第1章 天下人の女 【織田信長】 《R18》




「貴様は畳と会話しているのか?」


思わず肩がビクッとすくみ、
言葉が詰まる。
そう…
言われてから気付いたのは、自分はずっと俯いたままだったって事。


「気に喰わんな。何故俺の目を見ようとせんのだ」

「……っ」


まさに蛇に睨まれた蛙の如く。
指摘されてもなお、顔を上げられず……
この場をどう切り抜けようかとひたすら思考を巡らせるばかり。
ーーーああまずい、怒らせたのだろうか。


「…す…すみませ……」

「詫びを求めているのではない。何故なのかと理由を問うている」

「あの…それは…その…」


どう答えれば角が立たない?
とにかく穏便に済ませなきゃ、穏便に……
しかし突破口は容易にみつけられなくて。
しどろもどろに口篭り、しまいには黙ってしまったのだが。


「茅乃様は緊張してるんですよ、きっと。なんたって相手は信長様だもん」

「そ、そうそう!蘭丸の言う通り、目も合わせられないほど極度の緊張に襲われているのでしょう。
ですから信長様、どうかお手柔らかに……」


私の様子を見兼ねた蘭丸さんと秀吉さんが割って入ってきて、口々にそう庇ってくれた。
二人から宥められているうちに、信長様も渋々引き下がり……
ひとまず事態は収束。再び、賑やかな雰囲気が広間を包む。


「ふぅぅ……」
 

助かった……

席に戻った私は、安堵のため息を吐くと
湯呑に残っていた茶を一気に飲み干した。


“何故俺の目を見ようとせんのだ”ーーー


……怖いの。
紅く、射抜くようなあの瞳が。

出会った時から思ってた。

目が合えば最後。
引き摺り込まれ、
紅蓮の炎に焼き尽くされて。
二度と還ってこれなくなるーーー

そんな予感がするんだ。



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