第1章 天下人の女 【織田信長】 《R18》
蚊帳に囲まれた閨の中。
それは誰も邪魔できない、たった二人きりの特別な空間みたいで……
長い長い夜の始まりを予感させた。
「…珍しく積極的だな。迷いは無いと見受ける」
「もちろん、ですよ。私自身が望んでいるんです、貴方を……ん……」
再び落とされた口付け。
触れては離れ、触れては離れ……
幾度となく落ちてくる唇は、最初はひんやりしていたけれど次第に温かみを帯びてきて微睡んでしまいそうになる。
口付けは少しずつ深くなっていき、互いの舌が触れ合って……
「ふ…っ」
流れ込んでくる息が熱い。
絡みつくそれは私の舌のみならず歯列や頬の内側をなぞり、ゆっくりと味わうように口内を泳ぐ。
滑らかで、一切無駄の無い動き……
未だに信じられないよ、信長様とこうやってキスしてるなんて。
夢見心地でぼんやりと見つめていると、伏せていたその瞼がすうっと開き紅い瞳がこちらを射抜いた。
すると……
口付けが途端に激しくなり、舌が荒々しく巻き込まれていく。
ーーー呼吸さえも苦しくなるほどに。
「んっ、んん…はぁ…っ」
ペースを乱されっぱなしで、
もう動きが追いつかない。
ようやく収まった頃解放された唇はしっとりと潤っていて、そこからつう…と繋がった透明の糸が静かに途切れた。
「今にも寝落ちてしまいそうに見えたのでな、活を入れてやった。目は覚めたか?」
「…っ、
まさかこんな大事な時に眠れませんよ…っ」
「なら良いが…覚悟しておけ。
尽き果てるまで寝かせる気は無い」