第1章 天下人の女 【織田信長】 《R18》
手取り足取り補助してくれるものの、初の乗馬体験に四苦八苦。
木漏れ日が眩しい緑の中を駆け抜け……
周辺の地理を大まかに教えてもらった後、城下町へとやって来た。
町内もひと通り案内してくれるそうで、まずは馬を一旦厩舎へと預ける事に。
「はぁぁぁ…やっと地上を歩ける…」
地面に降り立った瞬間緊張が解け、足の裏から伝わる安心感をしみじみと噛みしめる。
時間が経つにつれて少しは扱い方に慣れたけど、馬上は想像していたよりも目線が高く振動も結構なもので、バランスを取るのが大変だった。
……明日は絶対筋肉痛だな。
「どうだ、楽しめただろう」
「そんな余裕ありませんでしたよっ。必死だったんですからね、もう……」
「ふ、そうか。
さて次は我が城下の町並みを案内してやる。来い」
精一杯睨んだけれど、また笑ってかわされる始末。
怒ってる私を見て喜ぶなんて、信長様ったら変わった性癖の持ち主なんだろうか。
でも…理由はともあれ楽しんでるみたいだし、以前のように無言が続くよりはずっと良いよね。
そう気を取り直した私は、町の通りへ向かって歩いていく背中を追った。
「わぁ…」
視界に広がるのは、遠くまで連なるたくさんの店や活気に溢れた人々。
ありとあらゆるものに古き良き風情があって、道は綺麗に整備されゴミひとつ落ちてない。
これが安土の城下町ーーー
「すごい…、本物だぁ」
思わず写真を撮りたくなる光景に目を奪われ、わくわくと観光気分で辺りを見回しながら歩を進める。が……
歩き始めて間もないうち、あちこちから視線を感じるようになった。