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【イケメン戦国】夢心地の宵

第1章 天下人の女 【織田信長】 《R18》




城門に着くとすでに家臣等がずらりと並んでおり、見送りの態勢がしっかりと整っていて。
仰々しい雰囲気に圧倒されつつも、蘭丸さん達に促されて少しずつ歩を進める。

ただ外出するだけなのに、こんなにもたくさんの人が見送りに出てくるなんて……
注目される恥ずかしさ、そして緊張感で、視線をどこへやっていいのか分からない。


「やっと来おったか」


ドクっと跳ね上がる心臓。
ーーーあの人の声だ。
見ると、いつものように黒い着流しと羽織物を纏った出で立ちの信長様が馬に乗って待ち構えている。
堂々たる風格は今日も健在だ。


「なかなか見られるようになったな。ではさっそく行くぞ」


信長様なりの褒め言葉なのだろう。例えお世辞でも反応してもらえた事にホッとする。
補助されながらなんとか馬の鞍を跨いだ私は、背後から支えられる格好で無事に騎乗。そして…
皆に見送られる中、門の外へ出たのであった。




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「あっ…あのっ…やっぱり私には無理ですっっ…!」

「音を上げるにはまだ早かろう。なんだそのへっぴり腰は、もっと背筋を伸ばさんか」

「そんなこと言われても〜〜〜!」


軽やかに山道を走る馬。
大騒ぎしている私の後ろからは、冷静かつ的確な指示が飛んでくる。

城の周辺を案内してくれるとの事でいざ出発したはいいものの……
信長様は何を思ったのか、なんとこちらに手綱を任せてきたのだ。


「いきなり馬を操ってみろだなんて…素人なんですよ、私っ」

「操ってみたいと貴様の目が物語っていた。願いを叶えてやったのだ」


確かに現代では普段なかなか乗馬に挑戦する機会が無かったし、ちょっと憧れもあったけど。
いきなり走る馬をコントロールするなんて、素人がやるにはハードルが高い。


「せめてまずはゆっくり歩かせるところから始めてみませんかっ…?」

「それは後で教えてやる」

「普通逆ですよ、逆ー!」


怒ってわめく私の様子が面白いのか、なにやら愉しげに笑う声が聞こえる。
織田信長はとても破天荒な人物だと後世に語り継がれてはいるけれど。
破天荒にも程があるよー!



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