第7章 ワンコ系男子。
海常高校に入り、もう数ヶ月。
私は、同じクラスの黄瀬涼太の追っかけをしていた。
黄瀬くんは
すごくカッコイイし、
性格もすごくいいけど…
私はそんなに彼を好きではなかった…。
というか、
そもそも"男"が苦手だった。
そんな私が何故、
黄瀬涼太の追っかけをしているか…。
その始まりは
4月の入学式。
中学からの友人、
山田芽衣子は非常にミーハーな女だ。
「ねぇ!凛!!!!同じクラスに、黄瀬くんが居るよ!」
芽衣子は興奮したようすで、
クラス表を指差した。
「黄瀬くん…?誰それ…?」
私が目を細めて、首をかしげると、
芽衣子は大きく溜息をついた。
「もう~!雑誌とか読まないの!?モデルの黄瀬涼太くんだよ!もう、どうしよぉー!化粧とかしてくればよかったぁ~」
芽衣子は一人で大騒ぎしていた。
が、私はいまいちピンと来ていなかった。
トイレで芽衣子の化粧が終わるのを待ち、
教室へ向かった。
教室には既にたくさんの人だかりが出来ていた。
「きゃー!黄瀬くーん!こっち向いてぇ~!」
女子の黄色い歓声。
その真ん中に黄色の髪の長いまつげの男の子。
「あ。雑誌で見た事ある…。」
私がそう呟いた頃には
芽衣子は既に黄瀬くんの周りで黄色い歓声を上げていた。
私はそんな芽衣子に呆れながら、
自分の席についた。
そして、遠くから黄瀬くんを眺めていた。
笑顔でサインも書くし、
写真だって一緒にとってあげる。
芸能人なのに…良い人なんだなぁ。
私はそんな事を思いながら彼を見ていた。