第5章 私の彼は"変わりもの"?
「はい!じゃぁ、今から好きな動物さんの絵を描いてくださ~い!」
教室内に先生の明るくほがらかな声が響きわたる。
「は~いっ!」
元気にお返事をすると
私は一心不乱にクレヨンを滑らせ、
大好きな動物を書き上げる。
「ん~?凛ちゃんは何を書いているのかなぁ?」
先生が私のお絵描き帳を覗き込む。
「…ん?凛ちゃん、これはなぁに?」
先生は私の絵を見て引きつった笑いを浮かべながらそう聞いてきた。
失礼なっ!
私の絵にケチをつけるのか!
そんな事を子供ながらに思いながら、
私は堂々と口にした。
『ゴリラですっ!!!!』
私は小さな頃から"変わりもの"だと良く言われてきた。
が、
私は決して自分ではそう思わない。
小さな女児が皆、猫やウサギや犬が大好きと
決め付けるのは大人の勝手な固定概念だ。
ゴリラが好きな女児が居てもいいではないか。
私はあの時、幼稚園で大好きな動物を書けと言われ、
大好きなゴリラを書いた。
が、
おかしいと一蹴され、私は結局ウサギを書き直させられた。
自由だ自由だと言われる現代に
こんな事があってよかったのだろうか…?
私は未だにあの出来事が許せないで居る。