第2章 第一夜 出逢い
「一条 凛です。
ふつつかものですがよろしくお願いします。」
「これはまた、美人な子が来たね。
ここの道場の師範代をしている近藤 勲だ。
今日から、家事や掃除などよろしく頼む。
ここは年上ばかりで心苦しいだろうが
何かあればいつでも相談してくれ。」
「ありがとうございます・・・・・」
近藤さん・・・・・
優しそうな人で良かった・・・・・
それから、何カ月かこの道場で
仕事に慣れる生活を過ごした。
周囲の人の性格は最悪だった。
やっとなれ始めた夏の蒸し暑いある日の夕方・・・・・
「おい!総司!!!!」
と向かい側の廊下に兄弟子さん達が
何人かで1人の男の子を囲み集まっていた。
「お前チビで卑しい者のくせにこんな飯の量喰うのか?
もう少し少なくしろよ」
〈カシャン〉
男達は男の子の御飯をこぼした後、
笑いながらどこかに行ってしまった。
その子は黙って落ちた御飯を拾い、
こちらを一目見てから台所の方へ向かって行った。
「あの子・・・・・御飯が無くなってしまったけど
どうするんだろう。」
考えるより先に身体は男の子の消えた方向に
向かっていた。
台所に行くと、
その子はごみ箱に落とされた食べ物を
捨てている途中だった。
その子と目があった瞬間
目の前には桜の花弁が散っていた。
この時から2人の刻は動き始めた・・・・・