第4章 色の異なる目を持つ侍
私が目を覚ました時、
医務室の天井が見えた…
「私は…洗濯してて…総司君がいて…」
身体中に気だるさが残り
脇腹がズキズキ傷んだ。
(ここにいたら総司くんがまた来て心配かけてしまう。)
一刻も早くここを出なければ
総司君がきて私と話している所を他の人に見られたらまずい…
私に話しかけるといつも
総司くんは兄弟子達に馬鹿にされていた。
もう…そんな思いさせたくない…
私だけで十分よ…
とりあえず、床を這うようにして
入り口まで行き
何とか立ち上がり、
裏の川に逃げることにした。
「ここなら…誰にも見つからないはず…」
このまま、川に入って流されるのも
いいかな…
そう思って一旦目を閉じた。
途中で弟や両親が見え
向こうから私を見ていたが
向こう側に行くことはなく
段々遠ざかっていった…
「おいおい…マジかよ…この間の餓鬼じゃねぇか。これ生きてんのか?おい!餓鬼聞こえるか?」
一時すると私の頭上から声が聞こえた。
【パチッ】
「は…い…」
「お。生きてんのか。ひでぇとこだなここは。あんた、このままだと死ぬぞ。」
「分かっています。でも、私が死ぬと総司くんがまた虐められてしまう…せっかく…侍として稽古できるようになったのに…私のせいで…ゴホッ…もう守って上げれない…」
「男を守る女か……」
(悪くねぇな…こいつ度胸がある。なら。)
「おい!俺と共に来れば死なずに済むぞ。来るか?お前が守りたいやつも俺が近藤に言っといてやるよ。どうだ?くるか?」
左右の目の色が違うその男は
以前この川であった侍の男であった…。
見た目からするとかなりの腕だと
直感で思った。
ここで私の命を救い総司くんの事まで
考えてくれるなんて…
嬉しかった…
「俺は桜小路聖夜だ!ここで野垂れ死ぬくらいなら俺と一緒にこい!」
「……分かりました。では、私もこの恩に変わって今日ここで女としての私は死に男として貴方の弟子として育ててください。」
「弟子か…悪くねぇ!よし!決まったならいくか!考えが変わらねぇうちにな!まずは近藤に言いに行くか。」
そう言うと、私は簡単に持ち上げ肩に載せ、羽織を被せた…