【名探偵コナン】トリプルフェイスの幼馴染は最強?【BL】
第4章 沖矢昴という男
「そうそう、自己紹介がまだでしたね。僕は沖矢昴、東都大学に通っています。差し支えなければ貴方のお名前を伺っても?」
『そういやまだ名乗ってなかったな。俺は蒼井悠。職業は…ま、秘密ってことで』
「蒼井さん、ですね。職業は秘密なんですか?それは気になりますね」
『ハハハ…。ま、どこにでも居るサラリーマンさ。そんなことより野菜だ、野菜』
「ホオ……サラリーマン。…野菜ですか?」
『おう。今日肉じゃがにするつもりなんだけどよ、どの野菜が良いのか全然分からなくてな』
「なるほど。そういうことでしたら、コレなんかが良いですよ」
完全に忘れていた自己紹介をお互いにしながら沖矢昴と名乗る男を観察するように眺め、そんな視線に気付いているのか否か、おそらくは前者だろう…こちらに向けられる瞳の奥の視線に一筋縄ではいかなそうだと肩を竦め。
そんな相手から聞かれたことに正直に答えられるわけもないので念のためにと作ってある偽りのプロフィールを口にし、本来の目的を思い出して再び陳列された野菜コーナーへと顔を移す。
『ふーん…コレが良い野菜ってやつか。俺にはサッパリだぜ』
「その口ぶりから普段料理はしないと見受けられますが」
『ん?ああ、まあな。俺料理だけはからっきしでよ。だから俺の知り合いがそれを見かねてしょっちゅう作りに来てくれんだわ』
「なるほど…。あ、肉じゃがでしたら玉ねぎも必要ですね。コレなんか良さそうだ」
今の時代男も料理ができないとモテないわよと一回り年下の妹に昔言われたなと遠い目をしていれば、本日の献立に必要な材料を次々選別してカゴに入れてくる沖矢に自身の幼馴染と重ねてしまいおもわず漏れ出たほんの小さな笑みを見られていることに気づきもしなかった。