第16章 メルヘンチック*黄瀬*
あっという間に放課後。
当然のように、涼太と帰ろうと席を見るとそこに涼太の姿はなく...
携帯をみるとLINEがきていた。
【連行されたっス( p_q)】
....へぇ。
もういい知らない。女の子に連行される軟弱男子なんて知らない。
心配なんかしてやらない。
漫画を読んで心を潤そう。
LINEを既読無視にしておいてさっさと家に帰る。
好きな漫画を手にとって読む。
....面白くない。
「うわぁあ!!」
無意味に発狂して、マンガを投げる。
「涼太のバーカ、お人よし」
そうゆう所も好きだけど。今日はそのせいで全然一緒にいれなかった。
「寂しいわ、あほ」
おもむろにTwitterに書く。
ため息をついてベッドにダイブして顔を埋める。
そうしてから数分後。
涼太からの着信が鳴る。
「...出ないぞ」
通話拒否を押す。
声を聞きたかったけど、素直じゃない自分がいた。
明日にでも謝ろう。
と思っていると、家のインターホンが鳴った。
まさか、ね。
恐る恐る玄関に行って、ドアを開ける。
「涼...太」
黄瀬「王子様が来たっすよ!」
「王子様って...」
黄瀬「そう言ったほうがロマンチックかなって」
そう言って微笑む涼太。
黄瀬「今日はごめんね。なかなか一緒にいれなくて」
#NANE1#「いいよ別に...」
黄瀬「俺が良くない」
そう言って涼太が私に近づいて手を握った。
黄瀬「怒ったっスよね?ごめんねっち...」
「怒った。すごく嫌だった。この馬鹿。」
黄瀬「...そう率直に言われると、結構くるっすね...。」
「言って良さそうな雰囲気だったから」
黄瀬「っち」
優しい声と同時に、涼太のおでこが私のおでこと合わさった。
黄瀬「やっぱり俺っちが一番好きッスわ」
「うん、私も涼太が好き。」
黄瀬「マンガよりも?」
「当たり前でしょ」
そう言って、二人で笑い合った。
end