第15章 許容範囲 *今吉*
「わかんないけど、こう落ちる!!と思ってしがみついた。」
今吉「支えられとんのに?」
「頭パニック状態で...だから抱きつきたくてやったんじゃないの」
今吉「ほんまに?」
翔一の目をしっかりと見てうなづいた。
嘘なんか言ってないぞ。
今吉「... ほんま、みたいやな...。疑ってすまんかった」
「ううん。私こそごめん。」
今吉「もうちょいが気ぃつけとったらなぁ.. (笑)」
「ゔ...そうです。おっしゃるとおりです!」
図星だけどなんか認めたくなくて
そっぽを向いた。
すると、突然腕を引かれてまた視界がぐらつく。
「わっ...」
そのまま為す術もなく翔一の胸におさまった。
腕を引いた手はもう背中に回っていて、もう片方は頭に置かれていた。
今吉「あん時も、ほんまはワシが助けてやりたかったんや」
「え?」
今吉「間に合わんかったけど、ワシが支えてやりたかった」
少しだけ腕に力がこもる。
今吉「若松が助けて、こけへんかったから良いわと思ったけど、が抱きつきよるから...」
「ごめん....」
今吉「ええよ、ワシはあんなハプニングやのうてもを抱きしめられるからな」
頭に置かれていた手をぽんぽんと数回たたく。
今吉「せやけどさすがにハグはワシの許容範囲超えてたわ」
「許容範囲なんてあったんだ」
今吉「あるで?はないん?ワシが他の子にこんなんしててもええんか?」
「やだ、だめ、アウト」
リアルにそれを想像して、思わず翔一の裾をぎゅっと掴んだ。
今吉「せぇへんて(笑)かわいい奴やな」
翔一はいつも私をからかってくる。
だけどそれが嫌じゃないのは、それ以上に翔一が好きだから。
end