第23章 食べるのは君*紫原*
一休みがてら時計を見て私は絶望。
「12時...だと?」
むっくんが来るのは1時頃。
でも今日はお菓子があると言ったからたぶん遅れてくることはない。
「急がないと!!」
私はいそいで生地にクリームを塗り始めた。
が、
案外難しいもので。パティシエがいかにすごいかこんな時に実感するとは。
「ぬぉ...腕がツリソウ...」
なんとかクリームを塗り終え、用意していたチョコのプレートにチョコペンでメッセージを書き入れる。
「えっと.. やばい書きたいことありすぎてぜったい収まらない」
とりあえず、『むっくん大好き♡』とだけ書いておいた。
それをケーキに乗せるのと同時に、家のインターホンが鳴る。
「き、来た!」
足早に玄関にいって扉をあけると、ずーんっとむっくんが立っていた。
「いらっしゃい!」
紫原「やっほ~。あ、ちんいい匂いがする~」
そう言って少し顔を近づける。
それが照れくさくて顔をそらしながら答えた。
「お菓子作ってたから!さ、食べよ!」
紫原「わ~い!ちんのお菓子楽しみ~」
リビングに入って、少し目をつぶるように言ってから、ケーキを慎重にむっくんの目の前に運ぶ。
「むっくん、あけていいよ」
紫原「....わぁ~!!すごい、ケーキだ~」