第8章 我らがエリザベート(滝/数多)
エントリー用紙も無事提出し、いよいよコートに入るというとき。
跡部「おい、和栗は何処行った」
ついさっきまで近くにいたが、辺りを見回してもその姿はなかった。
宍戸「ん?なんかコート外で見るんだってよ」
跡部「あん?ったく、アイツは...」
日吉「またあらぬ所に行ってないといいですがね」
芥川「あ、俺ズボン履き忘れたcー!まいっかー」
宍戸「よくねーよ!履け!」
向日「おっオイ見ろよ!なんかあそこに馬いんだけど!」
宍戸「はぁ?!」
向日「なんか白い馬、まさかお前んとこの馬じゃねーだろーな」
跡部「ハハハハ!あんなところに俺様のエリザベートがいる訳ねぇだろうが」
忍足「おいおい岳人、目ぇ悪くなったんとちゃうか?」
向日「なんだよ悪いのはお前だろ!」
忍足「いやいや俺は伊達やろが」
鳳「まぁまぁ、きっと何かの見間違いですよ」
向日「マジだって!どう見てもあのちょこっと出てる耳と鼻は馬だって!」
そう言われて向日が指さしたフェンスの方を見ても、そこには我らが氷帝に黄色い声援を送る男女ばかりしかいなかった。
向日「ってあれ?いねぇ」
跡部「やれやれ、いいから試合に向けて集中しろよ」
向日「ちぇーっ」
跡部達はコートに向けて再び歩き出した。
めいこ「やば、もうバレた?」
跡部が探していためいこはというと、コート外でとっさにしゃがんでいた。
今まさに皆が騒いでいた馬の被り物をして。
にしても向日先輩勘いいなぁ。
たまに勘違いとか早とちりするけど。
滝「クスクス、めいさん何してるの?」
めいこ「えっ?!」
隣には、同じようにしゃがんでいる滝先輩がいた。
めいこ「はぁー、よくあたしって分かりましたね」
滝「だって変だもん、動きが」
めいこ「変?!」
滝「そもそもこんなとこで馬かぶる人いないでしょ」
めいこ「えー!せっかく氷学ジャージから着替えたのに!」
滝「そうまでして何してるのさ、偵察でもするの?」
めいこ「いやー、なんかうちの友人が他校とフラグ立ったら面倒くさいからコレ被っとけ!って意味不明なこと言われて渡されまして。かといってコレ被ってコート入るの恥ずかしいじゃないですか」
滝「....なんていうか、フラグ余計立ちそうだよね」