第7章 【番外】この跡部はデカい(跡部)
めいこ「はぁああ、すずしぃいい」
ここは氷帝テニス部のマネージャー室。
ひと通り仕事を終えためいこは窓を開け、ベンチに上半身だけを乗せて、真夏にときどきある涼しい風を堪能していた。
しかしあまりにも気持ちよかったため、気づかぬ間にそのまま寝入ってしまったのだった。
「...ろ、オイめいこ起きろ!」
気がつくと上半身を誰かに揺さぶられていた。
めいこ「んや?あれ?」
ぼやーっと目を開けると、跡部が切羽詰まったような顔をして目の前にいるのであった。
めいこ「あえ、ぶちょ!わーやばーい寝てたー」
のそのそと起き上がり、頭の乱れを手で直した。
...あれ?なんかさっき下の名前で呼ばれてなかった?聞き間違い?
跡部「やれやれ、この俺様の姿を見て何ともねーとは...まぁいい、お前に1番に会って正解だったかもな」
めいこ「いやいや、普通にびっくりしまし..あれ?」
よく見ると目の前の跡部はレギュラージャージを着ておらず、スーツを着崩している姿であった。
もう一度顔を見ると、いつもより大人っぽいような、色気が増しているような、声が少し低いような....??
跡部を凝視していると、スッと腕を組んで立ち上がった。
跡部「単刀直入に言う。俺様は10年後から来た」
めいこ「背ぇ高っ!!...って、は?!今なんて?!」
既に長身であるのになお長身になった跡部は、体全体も今よりガッシリとして、1段と男前になっていた。
ここまでプロポーションが違うのを見せつけられては、信じざるを得ない。
めいこ「しかしご親戚のドッキリという可能性も...」
跡部「バカ、なワケあるか」
めいこ「バカ?!」
跡部「とりあえず帰れるまで少しかくまってほしい」
めいこ「なるほど、ドッペルゲンガー的なやつですね?!」
その時、誰かが階段を登ってくる音が聞こえた。
跡部「っち、隠れるぞめいこ」
めいこ「えええええ!」
跡部はめいこの腕を引っ張り、近くのロッカーに2人で入った。
あれ?やっぱ名前であたしのこと呼んでるよね?
ゆゆか「おーいめいー?あれ、いねーなぁ」
ロッカーの上部に有る、細長い換気穴から覗くと、友人のゆゆかが部室に入ってきた。