第6章 振り回される(日吉/跡部)
跡部「嫌なら俺様は口でも構わないんだぜ?」
めいこ「構わなくないです構わなくないです」
首をブンブン降る。
跡部「ホラ」
NOと言わせぬ跡部のオーラに、とうとう根負けしてしまっためいこは、少しづつ跡部に近づいた。
めいこ「うぅ、だ、誰にも言わないでくださいね」
跡部「言わねーよ」
めいこ「ただの忠誠ですからね、儀式ですからね?!」
跡部「あぁ」
跡部は上から見下ろし、余裕の顔で先程よりもニヤニヤしている。
意を決しためいこは、跡部の襟足を両方下にグイッと引っ張り、右の目元に一瞬だけキスを落とした。
めいこ「ぶちょーのばかぁああああ!」
一瞬過ぎて不覚にもチュッと音が鳴ってしまい、あまりの恥ずかしさにめいこは反対方向に爆走した。
跡部「フッ、逃げたか」
跡部はキスされたところを撫でて、余韻を楽しんでいた。
支度が済み、外の自販機で飲み物を買いに行った日吉は、目の前から爆走してくるめいこを発見した。
日吉「ちょっと待て」
めいこ「グエッ!」
日吉の横を通り過ぎようとしたところで、首根っこを捕まえられた。
日吉「お前何処に行くつもりだ、エントリーはこっちの方じゃないぞ」
めいこ「うえー!だってー!」
日吉「今度はなんだ、本当に幽霊でも出たか?」
めいこ「似たようなもん!」
日吉「なら、こうしてやる」
そう言うと、日吉はめいこを抱きしめた。
めいこ「へっ?!何?!」
それから、背中を少し強めに、ポンポンと叩かれた。
めいこ「な、なに?」
日吉「背中を叩くとな、幽霊が逃げていくらしい」
めいこ「....」
日吉「だから、もう大丈夫だろ」
そう言った日吉の声はとても優しかった。
めいこ「あ、ありがとう」
すると突然、身体を離されくるりと反対を向かされた。
そこにはニヒルな笑みを浮かべながら腕を組んでいる跡部がいた。
めいこ「うげぇっ!」
日吉「捕獲しました」
跡部「でかした、日吉」
逃げるどころか呼び寄せてんじゃん!ぶちょー幽霊じゃないけど!
__【第6章 振り回される(日吉/跡部)END】__