第5章 【過去】出会ったとき(跡部/鳳)
めいこ「へぇ?」
鳳「さっきうちのマネージャーがそう叫んでたから」
めいこ「うーん、なんか、恥ずかしい」
鳳「じゃあめいさん!」
めいこ「さん?!」
滝「めいさんとやら、やるねー」
めいこ「あ、あたしが抜かした人」
滝「滝様だよ」
鳳「アハハ!」
さっきから周りは跡部コールしか聞こえない。
めいこは何故か鳳に抱き止められたまま、皆でその場に座っていた。
走り疲れてもいたので、すっかり腕の中で落ち着いてしまっている。
滝「あ、向日、ちょっとバテてきたかな」
鳳「スタート、思いっきり飛ばしてましたもんねー」
そろそろ2周目というところで、向日の走るフォームが少し崩れてきた。
跡部は微笑を浮かべながら綺麗に走っており、そのすぐ後に我武者羅な宍戸が続く。
鳳「宍戸さん、頑張って〜!」
滝「ふふっ景吾くん、わざと2番のままだね?」
鳳「やっぱりそうみえますか?」
滝「好きだよね、そういうの」
めいこ「????」
2周目最後の直線に入った途端、一気に跡部が加速した。
周りはキャーッ!という悲鳴に近い声が響き渡る。
めいこが息を呑んで見守る中、そのままゴール直前で、跡部がテープを1番に切った。
めいこ「やったー!」
めいこはぴょーんと立ち上がり、両手を上げた。
鳳「ふふ、おめでとう」
滝「純粋だねぇ、君は」
走り終えた跡部は、人指し指を天に掲げた。
跡部「俺が、キングだ!」
ワァアアアアアアア!
向日「ハァッハァッ!くそくそ!いけると思ったのに」
宍戸「しょーが、ねーって、あいつ、スタミナお化けだかんな」
大盛り上がりした種目も終わり、クラスの応援席に戻ると、ゆゆかが背中を叩いてきた。
ゆゆか「めい!お前すっげーじゃん!あの滝さんを抜かしたから皆えらい騒いでたよ」
めいこ「あはは、たまたまでしょーが」
先程泣いていた女の子も声をかけてくれた。
「あの、さっきはありがとう。私も、めいって、呼んでもいいかな」
めいこ「え?うん、いいよー!」
クラスメイトが次々にめいこの周りに集まってくる。
滝「わーお、一気に人気者だね」
鳳「そうですね。なんだか妬けちゃうなぁ」