第1章 脳天気マネージャー(跡部)
外は相変わらずの蒼天にも関わらず、すでに雨がポツポツと降り始め、跡部は最後にテニスコートの鍵をするため樺地と出入り口に立ち、出ていく部員を確認していった。
跡部「お前らで最後か」
こちらへ走ってきたレギュラーユニフォームを着た2人に、確認の意味もかねて跡部は声をかけた。
宍戸「あぁ、多分な」
鳳「ついでに今、部室前も閉めてきました」
跡部「そうか」
テニス部室前のフェンスにはもう一箇所扉があり、コートへアクセスしやすいようになっていた。
テニスコートを閉める場合はその扉も閉めるので、最後のものは観客席横の扉から出て、少し遠回りをして部室へ行く。
宍戸「俺教室に傘忘れたから取りに行ってからにするわ」
鳳「俺もちょっと向こうに用があるので後で合流します」
跡部「あぁ、わかった」
小走りで校舎へ向かった二人を見て、跡部は樺地に各自トレーニングメニューを進めているよう伝えた。
跡部「俺は隣の部室を確認してから行く」
樺地「ウス」
樺地が自分と跡部のテニスバックを持ち、レギュラー部室へ入っていったその時、突然の豪雨にみまわれた。
まさに、バケツでも引っ掛けたような状態だ。
跡部「ゲリラ豪雨か」
跡部はすぐ隣の部室へ走っていった。先程から1人、姿が見えないのだ。
今年の4月に入ったばかりの2年マネージャーが。
めいこ「っん?」
鼻歌を歌いつつ、洗濯機から洗い終わった物を出していためいこだったが、突然ゴウーッという猛烈な音を聞き、顔を上げた。
窓を見ると先程の景色とは一変、灰色の雲で大量の雨が降っているのが見えた。
めいこ「はーっ?!マジでー?!ちょっとぉおお!」
その頃部室棟にいる友人のゆゆかは、心の中で「すまん」と言っていた。
ゴウーッという音は、直ぐにコツンッコツンッと何かが窓ガラスに当たる音に代わり、不思議に思っためいこは外廊下を覗く。
そこには白い粒が次々に落ちて跳ねていた。
めいこ「あられだーっ!!」
先程とはうって変わって嬉々とした声を上げる。
今度はバラバラバラともガラガラガラともとれるような音に代わった。
ジュースの中に入っているような、綺麗な四角い氷が落ちてきた。
めいこ「ナニコレやばっ!!」
めいこは興奮のあまりゾクゾクした。