第32章 【番外】皆に応援される夢(多数)
これは夢だ。
と、はっきりと分かるときがある。
まさに今がそれだ。
何故ならば、現在中学2年の自分だというのに、高校入試に挑もうとしているからである。
答案用紙があるわけではなく、何処かの学校で、明日は試験なんだと、また誰か分からない友人らしい人に教室で話していて気づいた。
「ちょっと和栗さん、いいですか?」
背後から声をかけられ、振り向くと観月先輩が髪をいじりながら腕を組んで立っていた。
めいこ「は?」
観月「訪問者に対しては?とは何ですか、失礼ですね」
「え〜!観月先輩、また和栗の教室遊びに来たの〜?」
ツインテールの女友達らしい子が、すかさず茶化す。
観月「うるさいですね、どうしようと僕の勝手じゃありませんか。
それより和栗、あなた明日試験ですよね?」
観月は上着の内ポケットから、半分に畳まれた小さな紙を出した。
観月「これ、問題の要点をまとめておきました」
それは綺麗な文字で、4教科が短くまとめてあり、重要な単語は赤ペンで書かれていた。
観月「明日の試験、頑張るんですよ」
めいこ「はい!ありがとうございます!」
いつも馬鹿だと思われてる観月先輩に応援されてる!
超嬉しい!夢だけど!
教室から去っていく観月に手をふり、メモ用紙を大事に手帳に挟んだ。
「おーう、めいこー」
廊下の窓ガラスに寄りかかるのは、仁王先輩。
え?!ここ何処の学校設定なのよ!
仁王「ホレ、明日の試験寒いらしいからの、持って行きんしゃい」
手渡されたのは、可愛い猫の絵が書かれた四角いもの。
めいこ「可愛い!これ何ですか?」
仁王「ホッカイロじゃ。それ持って頑張ってきんしゃい」
めいこ「ありがとうございます!大事に使います!」
今度は仁王の後ろから、乾先輩が廊下を歩いてくる。
乾「和栗、明日の倍率は、データによると例年よりいくらか低いらしい。受かるといいな」
めいこ「はいっ!ありがとうございます、頑張ります!」
2人に手を振り、教室に入ると樺地君がお守りらしきものを差し出してきた。
樺地「応援、してます」
めいこ「ありがとう」
そっと手にとると、自分の名前が縫い付けてあった。
めいこ「もしかして作ったの?!」
樺地「…ウス」