第23章 【番外】恐怖の麦茶(向日)
めいこ「おーい!冷たい麦茶入ったよー!」
めいこはテニスコート横のベンチから、プラスチックメガフォンで練習中の皆に声をかける。
いつもは各自のスポーツドリンクケースに入れるのだが、今日はすこぶる暑いので、ふと思い立って大きなグラスにたっぷりの氷を入れて作った。
グラスに伝う滴は、麦茶の冷たさをより演出しているようにみえる。
向日「おっやった!」
1番近くに居た向日は、飛び跳ねるように走ってきた。
ベンチに並んだグラスを掴むと、グビグビ豪快に飲み始め、それから直ぐに顔をしかめて吹き出した。
向日「ブーッ!」
芥川「うわあぶねっ!」
横からやってきた芥川は、間一髪のところで避けた。
向日「しょっぺぇ!」
めいこ「えっ!マジで?!」
鳳「確かに...少ししょっぱいかもしれないですね」
一口飲んだ鳳は、困ったような笑いを浮かべた。
めいこ「えーっ!」
向日「おまっ...何入れたんだよ」
めいこ「え。塩」
「「塩ぉ?!」」
向日と芥川は愕然として叫んだ。
めいこ「うん、暑いから塩分補給にいいかなって思って」
芥川「入れ過ぎだCー」
向日「いやそれは嬉しいけどさ、お前さ、味見したのか?」
めいこ「いやー?してなーい!」
罪のない笑顔を向けられ一瞬怯みそうになった向日だが、握りこぶしを作ると頷いた。
向日「よし、梅干しの刑だ」
向日はめいこのこめかみ両方に、グリグリと拳をおみまいした。
めいこ「ぎゃー!イタタタタ」
向日「お前も飲んでみろよ!」
めいこ「う」
めいこはまだ誰も手をつけていないグラスを取ると、一口飲んでみた。
めいこ「...オッヘ」
向日「ホラみろ!今度からちゃんと味見しろよな」
めいこ「へーい」
向日「ハ、イ、だ、ろ」
忍足「まぁまぁ、この氷ガリガリしながら飲んだら丁度ええやん」
めいこ「てんぱい!」
日吉「忍足先輩はコイツ甘やかさないでください」
宍戸は何も言わず、中ジョッキ生のようにグビグビっと飲み干した。
宍戸「まじぃ、もう一杯!」
めいこ「青汁扱いなの?!」
でも、皆文句言いながらも飲んでくれているので、優しいと思う。
奥のコートでは、跡部と滝がまだ打ち合っていた。