第22章 夏の職業体験!(跡部)
テニスコートへ付いて来ためいこは横のベンチに座り、跡部の練習をしばらく見ていたのだが、どうにもソワソワしてきた。
もう直ぐ夕方、この職業体験もそろそろ終わりの時間だ。
跡部「何やってるんだ?」
ベンチに座っていたハズのめいこは、コートの隅に背中を向けてしゃがんでいた。
めいこ「雑草取りです!」
跡部「あーん?座っていいと言っただろ」
めいこ「いやー、なんか落ち着かなくって...あ」
跡部がめいこの方へ歩いて行くと、苔の生えた隅に、欄のような形をした小さな小さな華が咲いていた。
めいこ「トキワハゼだ。かわいー、抜けなーい」
跡部「お前は、本当に花が好きだな」
跡部は横から顔を覗き込み、フッと微笑む。
跡部「めいこ」
めいこ「はい?」
跡部「今日は、ありがとな」
跡部はめいこの額にかかる髪をよけ、そこに優しく口づけた。
途端にめいこは真っ赤になる。
めいこ「...ほ、他のメイドさんにもやってるんですかー?」
少し厶っとした跡部は、今度は額にデコピンを食らわせた。
めいこ「あいたっ!」
その後跡部は、雑草を抜く際、支障をきたさない程度に野花も残しておくよう、ミカエルに伝えたのだった。
ー【夏の職業体験!】ENDー