第20章 【番外】屋上の茶番劇(向日/跡部)
跡部「お前らは知らないだろうが、コイツも案外毒舌になったりするぜ」
めいこ「そりゃ人間ですから!」
向日「へぇ、想像できねぇな」
跡部「いつだったか、深夜近くに電話した時は寝ぼけて...」
めいこ「ほわぁあああ!」
めいこは慌てて跡部の口元を抑えようとすると、逆に手を引っ張り上げられ、そのまま手首にキスされた。
「ギャーー!」
という、青い悲鳴と黄色い悲鳴が屋上に響きわたる。
向日「クソクソ跡部!」
跡部「フッ。こっちの方が、ネタになんだろ?」
めいこ「あたしで遊ぶなぁああ!」
めいこは必死に、掴まれた手を振り払った。
「ハッ!見惚れてた!ありがとうございますありがとうございますごちそうさまです!さすが跡部様です!創作意欲が湧いてきました!フヒヒヒヒ!」
そう早口で喋ると、眼鏡の生徒は走って行ってしまった。
ゆゆか「あー、じゃあ、アタシもこれでー、お騒がせしましたー」
空気を読んでいい笑顔で去っていこうとすると、その後にめいこが付いてきた。
ゆゆか「いやめいはソッチ行きなよ」
めいこ「えなんで?」
きょとんとするめいこを残し、ゆゆかは去っていった。
跡部はめいこの肩に肘をつき、話を持ちかける。
跡部「さっき樺地が新しい紅茶を入れたんだが、お前も一緒にどうだ?」
めいこ「え!飲みたい!」
向日「おい、俺も飲ませろよ!」
そう言うと、向日はめいこの肩にドスンっと勢いよく腕を回した。
向日「ったく、マジでさっき心配したんだからな」
めいこ「ご、ごめん」
跡部「本当に虐めにあったり、そういう現場に遭遇したら必ず俺達に言え。風紀の乱れを整えるのも生徒会長の務めだ、いいな」
めいこ「う、うん。ありがとう」
頼もしいや。なんか、嬉しいな。
向日「ん、何ニヤけてんだよ。そんなに紅茶が楽しみか、この食いしん坊め」
向日に頬を指でつつかれると、めいこは笑い出した。
跡部は樺地へ、手短に電話をする。
生徒会室へ戻ると、すっかり冷めてしまった先程の紅茶とは別に、熱々のティーポットとお茶菓子が、皆の帰りを待っていた。