第18章 【過去】ニャン月ニャンニャン日にて(千石)
今日は2月22日。
そう、ニャン月ニャンニャン日なのである。
それに因んであたしは、これからニャンコ達に会いに行こうと思っている。
というのも、この間ポストに猫カフェのクーポンチラシが入っていて、以前から興味はあったけれど、行った事はなかったので、さっそく休みの日と重なっている2月22日に出かけることにしたのだ。
猫カフェと一口に言っても様々であるが、そこは猫と触れ合いながらお茶もできるスペースがあるそう。
ここら辺じゃ無いものなぁと思っていたけれど、チラシに書かれた地図をみると、それは案外よく行く街の中にあることが分かった。
めいこ「お、ここか?」
チラシを片手に少し曇った空を見上げると、猫の絵が書かれた看板が、少し奥まったビルの上にひっそりとついていた。
何度も通ったことのある道だったので、奇跡的に迷わず付けた自分に、心の中でガッツポーズした。
でも、やはりというか、せっかくここまで来たのに初めての体験を前に緊張してしまい、その場で変な足踏みをしだす。
そんな中、白い学ランに緑が縁取られた制服を着た男子が、オレンジ色のくせっ毛頭をガシガシとかいて嘆き歩いてきた。
「まいったなぁー」
ふと行く先を見れば、ビル入り口前で地団駄を踏んでいるような女の子が目に止まる。
これは面白そうだと、先程とは打って変わって少年は明るい口調で話しかけた。
「ねぇねぇ、君、何してるのー?」
めいこ「ほへっ?!」
驚いて振り向いためいこを見るなり、少年の顔が一層明るくなった。
「あっ!やっぱりー!君かわいーね!」
めいこ「は」
呆気にとられていると、「うんうん、やっぱ俺の目に狂いはなかったね」と1人頷いている。
めいこ「アハハー」
初対面の人にお世辞を言われたと感じためいこは、乾いた笑いを浮かべながら逃げるように店の方へ歩き出した。
「あぁっ!ちょっと待って待って」
少年はめいこの前に慌てて周って立ちふさがった。
「君、多分この猫カフェ初めてだよね?」
めいこ「え、あ...はい、まぁ」
「今日カップル割、きくんだよー♪もしよかったら一緒に入らない?あー俺、山吹中の千石!下の名前でキヨって呼んでくれてもいいよー♪その制服、君は氷帝中だよね?」
めいこは口がポカンとあいてしまった。