第16章 【番外】進路願望はKC!(海馬/跡部)
自分以外誰もいない放課後の教室。
窓は開け放たれて、クリーム色のカーテンが風でなびいている。
めいこ「はぁ」
めいこは机に置いた、白紙のままの進路希望用紙を見つめる。
今日が提出日なのだがなかなか決まらない。
もう中学3年の秋。
部長も卒業しちゃったし、他の皆も色々な道に歩みだしていた。
めいこ「どーしよっかなー」
そう独り言ちて、色々な進路を想像する。
やりたいことや、やってみたいことはいっぱいある。
でも、どれもイマイチ何か引っかかるというか、一歩踏み出せないというか、まぁとにかく思い切りがなかった。
机の左端に目をやると、何冊も積み上がった漫画がある。
先程、小説を書くのが趣味の友人が持ってきたものだ。
前々から読みたかった「遊戯王」。
様々なゲームを攻略していく少年漫画といえばいいのか、今主流になったカードゲーム漫画と言えばいいのか。
その中に、主人公のライバルである海馬という人物がいる。
茶色のきのこ頭は少し誰かに似ていて、白い長ランという姿。
高校生なのに海馬コーポレーションの社長だ。
もし、あたしがここの社員だったら、どうなってるのかなぁ。
そんな妄想をしているうちに、めいこはいつの間にか眠ってしまった。
「...い、おい起きろ」
肩をたたかれまくり、ガバッと起き上がるめいこ。
めいこ「うあっ!進路脂肪!」
目に入ってきたのは大きなオフィス、と、自分の前にはパソコンが置かれている。
ここはどこだ。
「脂肪?何言ってんだお前」
隣に座る人は、首を傾げた。
スーツ...なのに金髪?!胸元から下がった社員証を見る。
めいこ「城之内?!」
城之内「なんだよ。とりあえずよ、他社の御曹司がうちを見学に来るらしいから、しっかり仕事やっとけよ」
なんだここは、夢か?自分も社員証をぶら下げていて、KCと書かれている。
まさか海馬コーポレーションではあるまいな。
キョロキョロあたりを見回すと、オフィス中央の一番隅に、ガラス張りでできた社長室と思われる部屋がある。
まさかあそこに...。
凝視していると、机に置かれた電話が鳴った。
慌てて「はいっ!」と思わず出てしまう。
「海馬だ」
海馬だったー!
海馬「客用のお茶を3セット用意して社長室へ来い」