第8章 待てば海路の日和あり
時雨先生がわたしの足元に座る。
その眼前に足先を伸ばした。
「今射精しておきたいでしょう?次にできるのはわたしの気分次第なんですから」
時雨先生は虚ろな目でわたしの爪先を見つめる。
ねちっこい視線を感じ、脚の間がもどかしくて焦れったい。
「舐めてください」
時雨先生はわたしの踵をそっと手に取り、
「あ……」
爪先を口含んだ。
ちゅ、と口付けるように足の指を吸う。
生温い咥内の温度が指に触れ、未体験の快感が腹部に昇ってくる。
舌先がちろちろと蠢き、爪の上を、指の先を細かく滑る。
「あ、ンっ……ん、ふぅ……」
舌がゆっくりと動き、指の股を舐めた。
「あッ!」
思わず声が出た。
普段触られることの無い場所を、舌に艶めかしく触れられ、お腹の下がきゅうっと締まる。
「あ……今の、いい……?」
時雨先生が心做しか嬉しそうにわたしを見る。
わたしは目を横に動かして頷いた。
「は……は、い……」
時雨先生は口を噤み、わたしの足の指をちゅっと咥えた。
指全体をぱっくりと咥えたまま、口をじゅぽじゅぽと動かし指を吸い上げる。
指と指の間を舌先で何度も舐め上げる。
時雨先生の舌先が過敏な足指を滑る度に、足がぞわぞわして動いてしまう。