第38章 女王は君臨すれども統治せず
目の前を二人の少年が歩いている。
この近くの中学校の制服を少し窮屈そうに着こなし、親しげな様子で談笑する様子に目を細める。
「なー、もう高校どこ行くか決めたあ?」
一人が親しい口調で喋りかければ、もう一人の少年が首を横に振る。
「いや……どうしよっかなーって。お前は?」
「全然決めてねー」
わたしは二人の後ろを歩きながら、どこか懐かしい気持ちでその姿を眺めている。
目的地に近づいた所で、ふと少年たちが足を止めた。
「……冴舞……」
学園ながら荘厳さすらあるような建物を見上げ、少年が言葉を漏らす。
目の前の華美な学舎や広々とした校庭を呆然としたように眺め、
「い、いや冴舞は無理だろ、ここめっちゃ頭良いもん」
ははっと苦笑すれば少年がこくっと頷く。
「そうだよなー……絶対無理だと思う……」