第37章 酒は詩を釣る色を釣る
時雨先生は時折身体を震わせ、腰をひくんと跳ねさせる。
わたしは吐息混じりに吐かれる言葉とその様子に目を細め、
「それで?」
「……ご褒美、も……ありがとうございました」
満足気に微笑する。
ひれ伏された時雨先生の頭を足先でそっと撫でた。
✱
「……っていう……事とかしてんのかなあって……」
語り終えた斗真が深々と息を吐く。
俺はそんな様子を白い目で見る。
完全に悪酔いしてんな、と苦手な酒の臭いを感じながら眉を顰めた。
だから個室居酒屋なのかと変なところで納得しつつ、
「……で、肝心のお前は何処にいる訳?全然出てこねえけど」
「いねーよおれなんか……あ〜……お呼びでないのー……」
「酔い過ぎ」
「まず否定しろよ……」
「つーか俺の扱い悪くない?」