第37章 酒は詩を釣る色を釣る
永夢は眉根を寄せ、ほんのりと顔を上気させながらも苦しげな嬌声を喉から絞り出す。
「うう……、あ、あぁ……っ!」
表情を歪め、奥歯を噛む。
ともすれば苦痛に耐えているような永夢に僕は笑いを零す。
「何だよ、お前こそ気持ち良さそうにして……サヘルの事言えないな」
言い返す気力もないのか、ただ首を嫌々と左右し、
「違うってえ……ほんと、ほんとに……」
弱々しい声を上げる。
いつもと全く違う殊勝な態度で逃げるように身体を折る永夢に上半身を押し付け、
「言っておくけど、僕だって好きでやってる訳じゃないからな、勘違いするなよ」
唾液でしとった耳元にふうっと息を吹きかける。
「あっ、ああぁ……っ、あ」
声を噛み締める永夢の耳をもう一度丁寧に舐め上げれば身体を小刻みに揺らす。
サヘルが潤んだ目で僕を見上げた。
「……聖、先輩……」
僕は眉を軽く顰め、視線を逸らす。