第37章 酒は詩を釣る色を釣る
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ボクはぺたりと勢いよく床に腰を落とし、永夢先輩の前ににじり寄る。
永夢先輩のモノを目の前に見据え、顔を寄せた。
「え……?」
永夢先輩が戸惑った顔でボクを見下ろす。
直ぐに触れられそうな距離にある存在感のある肉の塊。
萎えた状態でも大きくて雄々しいそれは肉感的で、ともすればグロテスクにも感じられて到底魅力的には思えない。
躊躇は拭えないけれど、こちらを見ている紗都せんせいが視界に入れば嫌でも鼓動が高鳴る。
ボクが何をしようとしてるのか悟ったのか、反射的に後ずさろうとする永夢先輩を見て覚悟を決めた。
ゆっくりと顔を近づけ、軽く目を伏せた。
「…………」
「えっ、ちょ、サヘルくん……!」
永夢先輩が慌てて身体を後ろに引くも、拘束具が邪魔をして上手く逃げられない。
「ん……」
竿に静かに唇を触れさせた。
唇に伝わる感触、僅かに匂い立つ青臭さが鼻を抜ける。