第36章 子の心親知らず

「勿論良いですよ……」

ソファに座り、サヘルくんに向かって両手を広げた。

「サヘルくん、おいで」

サヘルくんがわたしの隣に座る。

サヘルくんは赤面して、何か言いたげではあるものの、恥ずかしそうに押し黙っている。

「いきなり甘えていいよって言われても、難しいですよね」

「あ……」

そんなサヘルくんの頭に優しく掌を置き、柔らかい髪を撫でる。

「よしよし、サヘルくんいい子いい子」

「ま、ママ……」

手をそのまま下げ、両腕で華奢な背中を包んだ。

向かい合って抱きしめるとサヘルくんの目がとろんとして、わたしにそっと身体を預けた。

「……ママ、すきです……大好き……」

サヘルくんはそう言って、わたしの胸元に頬を擦り寄せた。