第25章 山椒は小粒でもぴりりと辛い
俺は今日も咥え煙草でパソコンの画面を見ていた。
椅子に身を預け、キーボードを叩く。
紫煙を燻らせ、目線を上にやる。
「……ふぅ……」
細く息を吐き出した。
口元から溢れる煙が昇っていく。
煙を吸う快感が、煙を吐き出す落ち着きが胸を満たして、心が凪いでいく。
自室で、一人っきりでのひと時に胸が休まる。
俺は両目を細め、自分の吐き出した煙が空気に混じっていく様を静かに眺める。
味わいに法悦しながら、椅子に深く腰掛けた。
煙草を口先から離して軽く指先で叩くようにして、灰皿に灰を落とす。
もう一度咥え、満足気にふうっと深く息を吸い込み、紫煙を吐いた。
パソコンに目を戻す。
動画一覧が画面上に表示されている。
俺はそれらに満遍なく目を通し、口角を上げた。
頬が緩む。
最近はこんなに良いお供ができた事だし。
画面上の丸木戸を愛おしく見つめ、灰皿の縁にタバコを押し当てる。
先端を底面にぐりぐりっと押し付けて、火の消えた吸殻を皿の上に置いた。