第4章 毒を食らわば皿まで
わたしは全てを話した。
「これ知れ渡っちゃったら、物凄く不味いですよねぇ……もう、養護教諭なんて、出来ない、ですね」
どうしようもなくて、へらりと笑った。
「もちろんわたしが悪いんです、こんなことしでかしちゃって……生徒をすっごく傷つけ、ちゃったかも……」
言い切ると、涙が出そうだった。
喉元にしょっぱい味が伝わる。
それを飲み込む。
「わたし、自分が自分じゃない、みたいだった……」
激情に呑まれ、有り得ないことをしてしまって。
わたしは俯いた。
「……教えてやるよ」
掠れ気味の、上擦った声がした。
顔を上げると、時雨先生は心から幸せそうにわたしを見つめていた。
時雨先生は口角を上げ、息苦しそうに胸を押さえる。
絞り出すように、一つ一つ声を出す。
「俺……お前がやってたことも知ってんだよ……」
時雨先生の喉仏が上下し、ゴクンと喉を鳴らす。
わたしも唾を飲み込む。
知ってた、ってどういう……。
時雨先生が立ち上がる。
「さいっこうだった、あの時のお前……何回も見直して、その度にお前で抜いた……」
わたしのデスクの位置、保健室の中心部分。
一番見晴らしのいい、場所。
「それからさぁ……ずっと、お前なら、お前なら、って……思ってたけど、やっぱり不安でさあ……」
時雨先生が何を言っているのか、さっぱり分からない。
それなのに、身体は何かを敏感に察知し肌が粟立つ。